一 学校のあゆみ
大藤地区の一画に「以和拓原」と刻まれた碑がひっそりと建っている。大藤地区の歴史は開拓の歴史でもある。大藤小学校には、こうした歴史を経て、地区の発展と子孫の幸せといった未来への切なる願いが根幹にある。
明治二十五年に向笠尋常小学校の分校より独立し、大藤尋常小学校と称し民家を充用する中、九十七名の児童で開校。開校後、大藤地区の人々は子弟の教育のために校舎建設資金に生活費を削って備蓄を施行したり、寄付を募ったりするなど多くの苦労を重ね、明治三十二年、現在地に校舎を新築するに至った。その後、学制改革により、大藤村立大藤小学校、昭和三十年の磐田市・大藤村合併により磐田市立大藤小学校となり、現在に至る。
この間、「以和拓原」の伝統に培われた素朴で明るい協同の精神は今も脈々と受け継がれ、多くの卒業生が自らの人生を拓くべく巣立っていった。
大藤小学校の象徴である「なわとび運動」は、昭和四十九年、当時、社会問題でもあった肥満解消と、なわ一本あればみんなが気軽にどこでも楽しめるウェートトレーニングとして始まった。令和5年度に「なわとび運動」50周年を迎える。なわとび運動は、大藤小学校の自慢でもあり誇りでもある。
二 学校の今
朝、通学班に多くの保護者が安全に登校できるように付き添ってくださっている。所々で地域住民の方が横断旗を手に見守ってくださっている。地域全体が子どもたちを守り育てるといった気風が伺われる。このよう地域だからこそ、現在、進めているコミュニティスクールに地域と共に夢を抱き進めていくことができている。
これまでの学校支援体制を生かしつつ、コミュニティスクールディレクターが核となり、児童の豊かな学びのために地域資源を最大限に生かす教育活動を推進するとともに学校が地域のコミュニティの核となるような取り組みも試行中である。地域に支えられる学校から地域と共に歩む未来型の学校を目指し取り組んでいる。
大藤小のこれまでの伝統を重んじつつ、「和を以て、未来を拓く子」を学校教育目標に掲げ、他者との関わり合いの中で学ぶ機会をより多く確保することや予測困難な時代に逞しく生きていく力を育成することを目指した教育活動を推進している。特に「なわとび運動」を教育活動の核とした活動は、大藤小学校の生命線である。地域の方も参加するなわとび大会では、「なわとびを跳んでいると、小学校時代が蘇ってきて楽しかった。子供たちが跳んでいるのを見ていると大藤の未来が楽しみになる。」という地域の参加者からの声をいただいた。大藤小のなわとびの「なわ」には、過去と未来、希望と夢がつながっている。